第10回学生シンポジウムに経営学部から13チームが参加(前編)

11月29日(土)、駒澤大学駒沢キャンパスで第10回学生シンポジウムが開催されました。今回は複数の学部や他大学ゼミ等から計66チームが参加し、午後に開催されました。このイベントは経済学部ゼミナール連合会が主催するもので、学部の枠を超えた学際的イベントとして学内に定着しています。

経営学部からは5ゼミ13チームが参加しました。以下では、経営学部からの出場チームについてその研究内容と参加学生のコメントを紹介します。
(2回に分けてお伝えします。今回は前編です。)


菅野ゼミ① 人気バンドのロイヤリティ形成の要因

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本研究では現代の音楽業界における有名になるバンドとはどのような要因で人気を獲得し、人気を維持しているのかというバンドの魅力、ファン形成について研究を進め、明らかにしていきます。
戦後、世界中で「バンド」という形態の音楽アーティストが台頭するようになり、その勢いは21世紀現在の日本でも衰えることなく多くのバンドが存在しています。そんな中多くのバンドがメジャーデビューするものの人気を博し、長い間好かれているバンドというものはほんの一握りなのです。そこで私たちはどのような要因で人気を獲得し、維持し続けているのか疑問に持ち、4つの検討を行いました。


【参加学生の感想】
初めて行った合同研究発表はとても緊張しましたが、他のゼミの方々から様々な意見を貰うことができ、今後の研究に向けてとても良い経験になりました。


菅野ゼミ② 企業の炎上と謝罪 -炎上を回避する謝罪とは

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本研究では企業の炎上対応における「謝罪」がどのように効果を発揮するのか明らかにしていきます。近年企業の炎上による影響はすさまじく、製品購買にだけでなく雇用にまで影響しており、企業のリスクマネジメントが求められています。しかし、SNSが発達している今、バイトテロ、客テロといった避けようのない炎上も存在しており、炎上を回避するのにも限界があります。そこで、私たちはその後の対応、特に「謝罪」という部分に焦点を当てました。炎上は従業員の態度によるものなのか、商品不備によるものなのかと、原因は様々です。また、謝罪もやり方、スピードによって効果も変わると考えます。では、正しい謝罪とは何なのか?これを私たちは消費者の信頼回復度による分析から調査していくことにしました。


【参加学生の感想】
同じマーケティングについての話とはいえ、話題は様々でとても良い刺激となりました。自分たちの発表後の質問の時間では、改善すべき点や今まで無かった新しいご意見をいただけて今後の研究の為の良い機会となりました。今後のゼミの活動に活かしていきたいです。


菅野ゼミ③ キモ可愛いについて

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本研究では、「キモ可愛い」と呼ばれるキャラクターがどのように消費者の関心を引きつけ、行動につながっているのかを明らかにします。近年では、「みゃくみゃく」に代表されるように、「怖い」「気持ち悪い」「でもなぜか可愛い」といった相反する印象を持つキャラクターがSNS上で話題となり、大きな注目を集めています。従来の誰からも好かれる可愛さとは異なり、違和感を伴うデザインでありながら支持を得ており、その背景には新しい消費者心理が存在すると考えられます。

まず第一に、既存研究の「不気味の谷」理論を応用し、消費者が気持ち悪いと可愛いをどのように認知しているのかを整理します。不気味の谷は本来ロボット研究における概念ですが、本研究ではその「違和感の度合い」に着目し、キャラクターのデザイン要素(形状・配色)がどのように好意的な評価へ転じるのかを分析します。
第二に、キモ可愛いキャラクターを「身につける」という行動に注目し、消費者がどの程度の"キモ可愛さ"であれば受け入れ、日常的に持ち歩けるのかを検討します。バッグやキーホルダーなどのパーソナルアイテムを対象に、どのようなデザインが「恥ずかしくない」「他人に見せたい」と感じられるのかを調査し、キモ可愛さの許容範囲と消費行動の関係を明らかにします。これらの調査を通して、キモ可愛さがどのように消費者心理や購買行動に影響を与えるのかを明らかにします。


【参加学生の感想】
今回今までに比べ最大規模の参加人数で他の各部や他大学から、大勢の様々な人たちからの意見を貰ったり、まったく違う研究から新たな知見を得られたりととても有意義な時間を過ごすことができました。


菅野ゼミ④ サービスロボットの印象形成と顧客満足度

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本研究は、サービスロボットの印象形成や顧客満足度を向上させるために必要な要素を明らかにすることを目的とする。
近年、日本では労働人口の減少が進み、今後の社会において人手不足を補う存在としてAIやロボット技術の活用が重要になると考えられる。
実際に飲食店ではサービスロボットの導入が年々増加しており、注文補助や配膳といった業務を担うなど、身近な存在となっている。
しかし、事前アンケート調査の結果からは、利用者が抱える不満が依然として多く確認された。
そこで私たちは、「サービスロボットに対する消費者の評価を高める要素は何か」というリサーチクエスチョンを設定し、先行研究と事前アンケート調査を基に、音声機能・服装の個性差・ユーモア性の3つの観点に着目して仮説を立てた。音声による印象、外見の違いが与える影響、またロボットが示す軽いユーモアが利用者の態度にどのような作用をもたらすのかを明らかにしたいと考える。
これらの仮説を検証するため、アンケート調査を実施し、調査を進めていく。


【参加学生の感想】
他の人と意見交換をする中で、自分たちとは考え方や調べ方、興味を持つポイントが大きく異なることに気づきました。だからこそ、自分にはなかった新しい視点で物事を見る機会になり、視野がより広がったと感じました。この貴重な経験をこれからの活動にも積極的に活かしていきたいと思います。


村山ゼミ① 大学生のSDGsの認知度とSDGsが就職活動に与える影響

私たちは自分たちが就職活動の際にSDGsという話題をよく耳にしており、実際にどの程度学生は知っていて、どの分野に興味があるのかや就職活動においては重要な軸となっているかについて疑問を抱いたので大学生のSDGsの認知度とSDGsが就職活動に与える影響を、テーマに研究しました。
実際のアンケートや過去のデータを元にその背景などについてもフォーカスし考察を重ねました。

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【参加学生の感想】
よく耳にはするが、しっかりと調べないとわからない事象について事細かく知れ、自分自身の知見を広げるような発見なども見つけれたので参加して良かったと思った。
自分には無い視点からの意見や考えを、得ることができ、有意義だった。
今まで興味のなかった分野に触れ、知見を得ることができ、とても有意義な時間だった。
他の大学の方とも交流できたことが良い経験になった。


村山ゼミ② 日本のサッカースタジアムにおける集客と今後の課題

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2022年に開催されたFIFAワールドカップ・カタール大会、2023年に開催されたWBCのそれぞれにおいて日本代表は日本中を熱狂させた。しかし、こうした世界大会での一時的な熱狂が、国内のスポーツ観戦文化にどれだけ定着しているのかに目を向けたとき、そこには疑問が残る。世界で活躍する選手に対する関心はあっても、実際にスタジアムに足を運ぶ行動に直結しているとは言いがたい。
特に本研究ではサッカーに焦点を当てるが、Jリーグの観戦者層は比較的高齢化が進んでおり、若年層のスタジアム離れが進んでいるという課題がある。これは、単に競技の面白さだけでスタジアムへと人を動かす時代ではないことを意味している。YouTubeやDAZNなどの映像配備、SNSでのハイライト視聴が主流となる中で、わざわざ現地へ足を運ぶ価値が薄れているともいえる。サッカーそのものの魅力に加え、スタジアムという空間でしか得られない体験価値をどう設計するかが、今後の観客動員の鍵を握ると私たちは考えた。しかし、日本にも観客動員を着実に伸ばしているクラブは存在する。そこで私たちは「川崎フロンターレ」「横浜・F・マリノス」「横浜DeNAベイスターズ」のスタジアムで現地調査を行った。さらには、「ドジャース」と海外のスタジアムにも足を運んだ。これらのスタジアムに共通していたのは、スタジアムでの体験設計の工夫があることだ。試合そのものではなく、スタジアムでの時間を価値あるものにしているように感じた。
本研究では、サッカーにおけるスタジアム観戦の現状と課題を整理し、サッカーと野球のスタジアムの成功事例に学びながら、なぜ観戦文化が根付きにくいのか、またこれから定着させていくためには何が必要なのかについて考察する。国際大会の盛り上がりを一過性のものとせず、日常の中にスポーツ観戦が溶け込む社会の実現に向けた集客マネジメントの可能性を探った。


【参加学生の感想】
発表後に他チームの学生と討論をできたことが特に印象に残っている。その意見交換の場で自分たちの研究に欠けている部分も見受けられたので、そのような発見が他のチームにあればよかったと思う。また、マーケティングという分科会での発表ではあったが、それぞれのチームが色々なテーマからマーケティングに結びつけて研究をしていたので聞いていて非常に興味深く討論にも積極的に参加できた。
他の班の発表には、自分たちにはなかった視点や切り口が多く、とてもユニークであった。シンポジウム全体を通して、他ゼミのメンバーとも交流することができ、さまざまな質問や意見をいただいたことで、自分たちの研究を客観的に見直すきっかけにもなった。今回の経験を通じて、これから取り組むべき新たな課題や方向性が明確になり、今後の研究にいっそう前向きに取り組みたいと感じた。
様々な学年の人と交流できたので良かった。
それぞれのグループが全く異なるジャンルをマーケティングに結び付けており面白かった。特に、SNSの炎上に関する研究では自分が思っていたものと研究結果が異なっていたので興味深かった。
今回のシンポジウムに参加して、本当に多くの学びがあった。特に印象に残ったのは、他の班と直接討論できる時間。発表を聞いてすぐに質問したり意見を交わせたりする機会はこれまであまりなかったので、新鮮で良かったと思う。
また、他の班の発表も内容がしっかりまとまっていて、それぞれの視点や工夫が見えて面白かった。全体を通して、多く学ぶことができとても有意義な時間だった。
同学年と行うものかと思い込んでいたが、ほぼバラバラの学年であったことに驚いた。どのグループもこの日のために一生懸命に準備してきたことが伝わり、お互いに良い討論ができたと思う。

(H.K.)